政府は方針転換の説明尽くせ

マニフェストだから」は通用しない

臨時国会開幕


 民主党鳩山由起夫代表が首相に就任して40日が経ったが、ようやくきょう臨時国会が開幕し、就任後初となる所信表明演説が行われる。


 この間、今年度補正予算の執行停止をはじめ、政府による唐突な方針転換が相次ぎ、国民や自治体などに大きな混乱をもたらしている。政府には十分な説明責任が求められるのは当然だが、まずは所信表明の中で、鳩山首相自ら方針転換の理由を説明してもらいたい。


 公明党にとっても、臨時国会は山口新体制になって初めての本格的な国会論戦の場となる。「国民生活を守り抜く」との立場から、堂々と論戦を挑んでいきたい。


 補正予算をめぐっては、すでに自治体などが準備を進めている事業まで執行を停止し、国民や自治体などから失望や反発の声が噴出している。


 その典型例が補正予算削減額の上積みを狙い、突然、支給を取り止めた子育て応援特別手当だ。厚生労働省は支給対象者と自治体に「お詫び」を通知したが、それだけでは国民の理解は得られないだろう。自治体の反発も収まるはずがない。なぜ大きな混乱を招き、しかも余分な経費を使ってまで中止しなければならないのか、十分な説明を尽くすべきだ。


 ほかにも、公立学校への電子黒板の導入や、農地を貸し出す農家を支援する農地集積加速化事業など、執行停止で関係者を落胆させた事業は少なくない。


 補正予算に盛り込まれた事業は、景気対策や経済成長などの観点から実施を決めた政策であり、それを執行停止にするのであれば、必要性がなくなったのか、あるいは別の効果的な政策を実施するのか、より具体的な説明が必要だ。単に「マニフェストを実現する財源確保のため」という理由だけで済まされる問題ではない。


日本の将来像を示せ


 子ども手当や農業の戸別所得補償制度など、来年度から新たに実施する方針の政策についても、国民や関係者に対する詳細な説明が不可欠だ。また、郵政民営化の見直しや長寿医療制度後期高齢者医療制度)の廃止など、今後どうしていくつもりなのか、具体像がはっきりしない政策も多い。


 政府は従来の政策からの方針転換の説明を尽くすとともに、日本の将来の具体的なビジョンについて、国会の場で明確に示してもらいたい。


 国民の目から見れば、たとえ与党を構成する政党が変わったとしても、政府であることに変わりはない。マニフェストの実現だけに躍起になって国民や関係団体への説明を怠れば、政府に対する信頼が失われていくのは間違いない。


 マニフェストを“錦の御旗”として問答無用で政策を進めていくような強引な手法は、断じて容認することはできない。


 公明党は国民の立場から、方針転換の理由や政策の中身などについて、厳しく政府に問いただしていきたい。
(公明新聞:10月26日)