鳩山政権の課題浮き彫りに

国民の不安払しょくする経済運営を

衆院代表質問


 生活現場の声を国政へ――。決意を新たに公明党は国会論戦のスタートを勢いよく切った。


 衆院は28日、鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行い、公明党から井上義久幹事長が質問。鳩山政権の政治姿勢をただすとともに、景気、雇用などで迅速な対応を求めた。


 この中で井上幹事長が最初に指摘したのは鳩山政権がめざす国の方向性だった。「新政権になって、国の政策がどう変わるか見えない」との国民の不安を受けた指摘だ。


 鳩山首相が誕生して約40日。この間、政府は民主党マニフェストの実現に血眼になっているとはいえ、井上幹事長が主張したように、「年金や医療、介護などの重要課題について、どのように国民の生活が変わるのか、具体策がまったくといっていいほど見えない」のである。


 目先の施策ばかりに終始し、国の将来ビジョンを示す仕事を怠れば、やがて国民の支持は離れていくことを鳩山政権は肝に銘じるべきだ。


 わが国が抱える課題の中で最も急を要し、かつ国民の不安が大きいのは景気対策だろう。


 世界を震撼させたリーマン・ショックから1年。幸い、前政権が講じた経済対策などが奏功し、最近は景気が上向きかけてきたが、年末年始にかけて正念場を迎えることは間違いない。


 この点、井上幹事長は経済危機克服のための今年度補正予算について、政府が「子育て応援特別手当」を含めた約3兆円もの執行停止を決め、地方などが大混乱に陥っている事態に懸念を表明。その上で、間近の経済対策はおろか、財政健全化への道筋も明確に示さない鳩山政権に対し「『マニフェストあって経済政策なし』の内閣と言われても仕方がない」と糾弾した。


 これに対し、鳩山首相補正予算の見直しでは国民生活への影響を考慮したとし、中長期的には「国民の暮らしの豊かさに力点を置いた新たな経済社会をめざす」などと答弁したが、今後も日本経済は回復基調を維持できるのか、その不安を払しょくできたとは言い難い。


 言うまでもなく、マニフェスト固執するあまり、肝心の経済・財政状況が悪化する事態となれば、本末転倒だ。特に、社会保障費が増大する中、政策実現のための財源確保は困難を極めるだけに、井上幹事長の指摘通り、「税制改正、歳入改革のより具体的な方向性を提示していくことが政権の責務」であることを忘れてはならない。


虚偽記載も厳しく追及


 井上幹事長は、鳩山首相政治資金収支報告書で虚偽記載があった問題も厳しく追及。なぜ虚偽記載があったのか、他にも虚偽記載がなかったのかなど「国民が納得できる説明はいまだになされていない」として、首相自らが疑惑解明を行い、説明責任を果たすよう求めた。


 マニフェストの実現をめざす前に、鳩山首相は国民の政治不信の解消こそ急ぐべきだ。
(公明新聞:10月29日)