ワクチン接種に万全を期せ

分かりやすい説明と周知徹底を

新型インフルエンザ


 新型インフルエンザの感染拡大を追いかけるように、国民から望まれていたワクチン接種がスタートした。


 ワクチン接種が発症や重症化を防ぐ効果を発揮することを期待したい。


 厚生労働省が発表したスケジュールに沿って、今月から各地で妊婦とぜんそくや糖尿病などの基礎疾患を持つ人を対象とした接種が始まった。先月の新型インフルエンザ患者の診察に当たる医療従事者に対するワクチン接種に続くものだ。


 新型インフルエンザは、弱毒性だが、感染力は極めて強い。これまでに小中学校などで休校や学級閉鎖が相次ぐなど、影響は多方面に及んでいる。


 公明党井上義久幹事長は、先月28日の衆院代表質問で、「この冬に向け、さらなる流行拡大を想定した万全の対策が必要」と力説した。季節性インフルエンザの流行も懸念される中で、対策強化が急がれる。


 今後の接種のスケジュールによれば、12月には1歳児から小学校低学年の接種が行われる。さらに来年1月から、1歳未満の乳児を持つ保護者や小学校高学年から高校生、65歳以上の健康な高齢者を対象に順次、接種が行われる。


 気掛かりなのは、優先接種者以外への対応だ。厚労省は、優先接種が終了次第、流行の状況やワクチンの供給量を踏まえ、検討するとしている。しかし、感染の広がりを見れば、早急に具体策を示すべきだ。


 ワクチンの確保について厚労省は、7700万人分を予定している。このうち、国内産ワクチンで2700万人分を確保した。国内産のみでは十分な供給量を確保できないことから、さらに、5000万人分のワクチンを輸入する。


 国民からは、海外産ワクチンを使用することに対する不安の声も上がっている。海外産ワクチンは、国内の使用経験や実績もない。さらに、国内産と製造方法も異なることから、不安に思うのも当然だ。


 そこで厚労省は、輸入するワクチンは、国内と同等の承認制度を持つ国に限定する。また、国内で臨床試験を行い、安全性を確認する。


混乱防ぐ態勢も必要


 報道によれば、医療従事者に対する接種では、準備時間が短いことやワクチン割当数を大きく上回る接種希望が寄せられ、混乱が見られたという。また、接種後に副作用が見られた事例もあった。早急に原因を解明すべきだ。


 すでに、医療現場や自治体に対しては、接種回数や時期などを含めた問い合わせが数多く寄せられているという。


 井上幹事長は、ワクチン接種について「接種態勢について必要な見直しと適切な情報提供を行うべき」と強調した。


 政府は、あくまでも安全性確保を第一義にワクチン接種に万全の態勢で臨むとともに、国民への分かりやすい説明とその周知徹底を急ぐべきだ。
(公明新聞:11月4日)