鳩山政権 地方に広がる不安

子育て応援特別手当の廃止
突然の変更が混乱招く
「期待していたのにショック」

 2009年度補正予算の執行停止など鳩山政権による政策変更が、地方自治体や地域住民に不安を広げている。


 「期待していたのに、とても残念。3万6000円は本当に大きい」と語るのは、茨城県取手市に住む大西美佳さんと舘林由美子さん。「子どもの教育のために使おうと予定していたのにショック。勝手に中止なんてひどい」と怒りをあらわにする。


 同市の「子育て応援特別手当」の対象者は約2500人。市は「広報とりで」に申請のお知らせを掲載し、広報の配布を始めたその日に、政府から一方的に執行停止の通知が来た。市民からの苦情や問い合わせが相次ぎ、市は急きょ、子ども支援センターや保育所、幼稚園などに「執行停止のお知らせ」を掲示する対応に追われた。


 「(補正予算は)審議をして国会で決めたのだから重いものだと思う。直接、市民と接する市としては、突然の中止に大変、困惑している」と市担当者は表情を雲らせる。市議会公明党の申し入れに、藤井信吾市長は「民主党として、おわびの説明を国民にするべきだ」と厳しく指摘する。


 2万6200人の支給対象者を抱える千葉市では、すでに対象者のデータ管理を行うシステム改修設計費に約200万円を掛けた。また、ドメスティックバイオレンス(DV)被害者に対する事前受け付けを済ませた2人には個別に事情を伝え、通知を出して執行停止を伝えた。


 同市の職員は「子育て応援特別手当に関して、何度も国に問い合わせをしているが返答がなく、準備を進めている中、突然の執行停止に業務が混乱した」と憤る。


 全国知事会など地方6団体は「地域主権をうたう新政権への期待を損なうものだ」と抗議する声明を出した。京都市議会では「支給を心待ちにしていた子育て世帯の期待を踏みにじるもの」として、「子育て応援特別手当」の執行停止を決めた鳩山政権に抗議する意見書を民主会派も賛成し、可決する事態に。現場の混乱は増す一方だ。
(公明新聞:11月5日)