政府の財政運営に疑問

国債増発、厳しくチェック
財政・金融部会 石井 啓一 衆院議員

――鳩山政権の経済財政運営について。


 石井啓一財政・金融部会長 経済状況は年末、年度末にかけて、さらに厳しくなってきます。年末のボーナスが減少したり、雇用もさらに深刻化する恐れがあります。そうした中で鳩山政権は、緊急経済対策として実施してきた補正予算のうち2兆9000億円に上る事業の執行停止を強引に決めてしまいました。全く信じ難いことですが、このままでは間違いなく景気に悪影響をもたらします。


 政府は補正予算を執行停止しておきながら、一方で景気刺激のための今年度2次補正予算の編成に言及しています。筋が通っていません。エコポイント制度やエコカー補助金は今年度中で期限切れですが、家電や自動車の購入はこの政策でかなり喚起されています。4月以降も切れ目なく実施できるようにするべきです。最も急ぐべきことは中小企業の仕事をつくり出すことだと考えています。


 ――来年度予算編成について。


 石井 民主党マニフェストに基づく新規政策が計上されてくるでしょうが、その財源をどう捻出するのか。マニフェストの政策は恒久的な政策ですから、来年度だけでなく毎年度、財源が必要です。ここに安定的財源が確保されるのかが予算編成で一番重要なポイントになります。


 鳩山由紀夫首相は、「政府をこれ以上、国債発行しない体質に変える」と主張してきたはず。新規政策の財源が確保できないから赤字国債を発行するというのでは話が通りません。この点は厳しくチェックしていきます。


 ――景気悪化に加え財政赤字も心配だ。


 石井 鳩山政権は“ムダ削減”と言いながら、財政規律への感度が鈍い。最近の長期金利上昇は、鳩山政権のなし崩し的な赤字国債増発で、国の借金が一層増大することを懸念したものです。政府は中期的な財政再建の見通しを来年5、6月をメドにつくると言いますが、それでは遅い。財政健全化のメッセージを来年度予算編成と同時に示すべきです。
(公明新聞:11月7日)