新しい福祉・教育・平和を


新ビジョンで山口代表に聞く








「人道の先進国」日本へ


地域で支える協働型福祉社会
子どもの幸福を最優先する国
核廃絶、環境で世界に貢献


 公明党山口那津男代表は、5日の全国県代表協議会で新ビジョン「新しい福祉・教育・平和をつくる公明党 『人道の先進国』日本へ」を発表しました。そのポイントを山口代表に聞きました。 ――なぜ、ビジョンを発表したのですか。



 山口那津男代表 新代表に就任以来、全国各地にお邪魔し、地方議員や党員、支持者の皆さまの生の声を聞かせていただきました。


 頂戴した声を真摯に受け止め、公明党の旗を高く掲げて闘い抜く決意を込め、10年後、20年後の日本と世界の将来を見据えた新しいビジョンを提案しました。


 ――新しい福祉・教育・平和と「人道の先進国」がキーワードですが。


 山口 いつ、いかなる場合でも「人間の尊厳」を守り抜き、「一人」を大切にしていくことこそ人道に立脚した政治です。その基盤となるのが、福祉・教育・平和です。公明党は21世紀を「人道の世紀」とすべく、その先駆を切る国づくりへの決意を込めて「人道の先進国」を掲げました。


 ――「福祉の党」として、急速な少子高齢化をどう乗り切るかが問われています。


 山口 わが国は少子高齢化、人口減少が他の先進国を上回るスピードで進みます。とりわけ、団塊の世代が75歳以上に達する2025年から始まる少子高齢化のピークに備え、新しい福祉社会の構築を急がなければなりません。それが「協働型福祉社会」です。


 「協働」とは、個人が自立して生活する「自助」、地域住民が支え合う「共助」、行政による「公助」をバランスよく組み合わせることです。


 今まで、北欧諸国のような「高福祉・高負担」か、あるいは「中福祉・中負担」かといった議論が交わされてきましたが、人類史上、空前の超高齢社会に突入していく日本は、世界に例のない独自のモデルを構築しなければなりません。それが、「地域で支える協働型福祉社会」です。


地域主権道州制を提示


 ――地域によって少子高齢化の状況が異なりますが。


 山口 中央に権限や財源を集中させて国全体をリードするという明治維新から続く中央集権的な構造を変えなければなりません。福祉についても、地域の実情に応じてきめ細かく対応できるよう、地域主権型の構造へと転換する必要があります。ビジョンでは国―道州―基礎自治体の3層構造から成る「地域主権道州制」をつくり、国家公務員を半数以下にすることを提案しています。


 ――二つ目は「教育の党」です。


 山口 子どもたちの幸福を最優先する社会を築くには、「社会のための教育」から「教育のための社会」への転換が必要です。特に親の所得格差などによって、子どもの教育の機会が損なわれるといった教育格差をなくさなければなりません。


 さらに、若年層の雇用問題を解消していくためにも、小中高校におけるキャリア教育、社会に出た後も学び続けることができる生涯学習の拡充が必要です。


 ――「平和の党」として核兵器廃絶への挑戦を掲げていますが。


 山口 貧困や飢餓、紛争、環境破壊、麻薬などのあらゆる脅威から人間一人一人の安全を保障する「人間の安全保障」の実現をめざします。


 最大の脅威は核兵器です。世界は今、核兵器が各地に拡散し、新たなテロの脅威に直面しています。その廃絶が重要であり、「核のない世界」をめざし、核兵器禁止条約を国際社会の規範として確立しなければなりません。それが唯一の被爆国である日本の権利であり、「平和の党」公明党の使命であると考えます。


 ――平和には環境保全の視点も含まれていますね。


 山口 そうです。人類の生存を脅かすもう一つの大きな課題は、環境破壊の問題です。公明党は、地球温暖化に歯止めをかけるため、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを2025年までに1990年比で25%削減する目標を掲げ、その実現に全力で取り組みます。


 今後、このビジョンをさまざまな政策課題に対する判断の基準にしっかり据えるとともに、具体的な政策を練り上げ、明年の参院選の重点政策などに反映させていきます。
(公明新聞:12月9日)