年末に増える事故を防ごう

高齢者と自転車利用は特に注意を

交通安全対策


 今年(2009年)も残り10日を切った。仕事の追い込みや新年への準備などで慌ただしい毎日が続く。行き交う人も急ぎ足だ。この時期は外出する機会も多く、自動車などの交通量も多い。


 このため現在、各地の自治体や警察が中心となって年末の交通事故防止運動が行われている。気ぜわしい時だからこそ、皆で注意し合いたい。


 年末に交通事故が集中する傾向は、データからも明らかだ。昨年の交通事故死者数を一例として挙げると、12月は565人で、次いで多い10月の498人、11月の485人を大きく引き離した。


 中でも、最も多く交通事故に遭っているのは65歳以上の高齢者だ。2009年版交通安全白書によれば、年齢別にみた昨年の交通事故死者は高齢者が全体の48.5%となる2499人。16年連続で高齢者が最多となった。


 高齢者に交通事故死者が多い原因として、とっさの判断や思うように体が動かないことなどが考えられる。社会全体で交通事故から高齢者を守る姿勢が重要となってくる。


 また、高齢者自身もちょっとした工夫をすることが交通事故の防止につながる。例えば、横断歩道では一息ついてから信号を確認したり、夜間の外出時には蛍光色を含んだ明るい服装にするなどの心掛けが大切だ。


 交通安全対策として、さらに強調したいのが自転車の事故だ。自転車の事故は増加を続けており、08年では1998年と比較して13.6%も増えている。


 自転車は身近で便利な移動手段だ。しかし、携帯電話の操作や通話をしたり、音楽を聴きながらの「ながら運転」も目立つ。こうした危険運転が思わぬ事故につながり、訴訟に発展することもある。自転車利用のルールと歩行者に対する心配りといったマナーを再度、確認したい。


 子どもの自転車利用についても、ヘルメット着用が義務付けられている。子どもたちを事故から守るためにも着用を徹底したい。


飲酒運転は厳禁


 一方、飲酒後の自動車運転は絶対に許されないことを確認したい。年末年始は飲酒の機会も増えるが、厳しく戒めたい。


 これまでに「まあまあ、どうぞ」「一杯だけなら」と勧められるなどして、軽率に飲酒し、ハンドルを握った結果、数々の痛ましい死亡事故が起きている。


 飲酒運転の撲滅めざし、道交法も強化された。07年9月からは飲酒運転をした本人に対する刑事罰の引き上げに加え、酒類や自動車の提供、飲酒運転の車への同乗に対しても罰則が科されている。さらに、今年6月からは飲酒運転に対する違反点数引き上げの行政処分も大幅に強化された。


 しかしながら、残念なことに飲酒が引き起こす事故は依然として後を絶たない。「飲酒運転は絶対禁止」との規範意識を高めたい。
(公明新聞:12月22日)