鳩山政権 ここがおかしい

戦略なき税制改正
暫定税率維持など家計支援の公約違反が続出


 22日に決定した鳩山政権初の税制改正大綱は、デフレや雇用への不安が増大する中で、「経済対策の視点を欠いた戦略なき税制改正」(公明党石井啓一税制調査会長)と言えます。しかも、全体では差し引き約1兆円の増税となりました。


 また、ガソリン税暫定税率の維持や、住民税の年少扶養控除廃止など、明白なマニフェスト政権公約)違反が続出。中小企業の法人税率軽減(18%から11%)も財源不足を理由に早々に見送られました。家計や中小企業支援の公約が後退したことについて、鳩山首相は国民に納得できる説明をすべきです。


 さらに、手続きの面でも、政府税制調査会と党税調を「一元化」し、会議は原則公開する「透明化」をうたっていました。にもかかわらず、最終局面では、民主党の「最高幹部による密室の会合で意思決定」(時事通信)が行われ、一元化と透明化にほど遠い結果に終わりました。


迷走する「普天間」移設
展望なき先送り。「基地の危険」解消のメド立たず


 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、鳩山政権は閣僚間で意見が食い違うなど迷走を続けた揚げ句、連立相手の社民党との関係を最優先し、結論を先送りしました。


 住宅地域に隣接する同飛行場の返還は、事故の危険や騒音被害などで苦痛を強いられる住民にとって長年の悲願です。鳩山政権は、同県名護市辺野古に移設する現行計画を見直すとしていますが、いつ、どこに移設するのか具体的な展望は全く示せていません。「基地の固定化」を危惧する地元からは、「いつになったら危険が解消されるのか」と憤りの声が上がっています。


 結論の先送りは、鳩山首相の「私を信じてほしい」との発言を真に受け、日米合意に基づく現行計画の実行を信じていた米政府を裏切る形となりました。


 「米側はさらに不信感を強めるのは必至」(読売)で、「日米同盟をめぐる現在の危機的状況をさらに深める結果になる」(産経)ことが懸念されています。

(公明新聞:12月24日)