若者の雇用を守れ! 支援迫る公明党

「訓練・生活支援給付金」が拡充へ

公明党は深刻な雇用情勢を踏まえ、今国会の論戦の中で、雇用保険を受けられない失業者が生活費を受けながら職業訓練が受講できる「訓練・生活支援給付金」制度の対象拡大や恒久化を提言し、政府から前向きな答弁を引き出している。国会論戦を通じた同制度に関する公明党の成果を紹介する。


「新卒者にも適用する」
国会論戦で大臣答弁引き出す

 「今回から新卒者にも適用させる」――。「訓練・生活支援給付金」制度の対象に未就職新卒者への適用拡大が決まった瞬間だった。

 公明党は国会論戦を通じて、同制度の対象拡大を提言した。まず1月22日の衆院予算委員会井上義久幹事長が、続いて同27日の参院予算委員会山口那津男代表が、それぞれ高校生や大学生の就職内定率が過去最低水準に落ち込んでいる現状を指摘。その上で、就職先が決まらないまま卒業する若者のセーフティーネット(安全網)を強化するため、政府に対応を迫った。これに対し、厚生労働相は提言の必要性を認め、今年4月から新卒者にも適用することを明言。公明党の政策提言が政府を動かした。

 厚労、文部科学両省がまとめた今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日時点)は73.1%(前年同期比7.4ポイント減)、高校生も68.1%(同11月末時点、同9・9ポイント減)に落ち込んでいる。ともに2年連続の悪化で、下げ幅は過去最大。このため、春先に大量の未就職新卒者が続出する恐れがある。

 都内の大学に通うSさん(23)は、「卒業間近だけど、まだ内定を取れていない。自主留年や専門学校に通う余裕はないし、絶対に正社員として働きたいから、(同制度を)利用してみようと思う」と語っていた。


11年度からの制度恒久化も約束させる

 一方、10年度までの時限措置だった同制度の恒久化も大きく前進した。

 井上幹事長は同22日の衆院予算委で、「(同制度の)受給資格認定者が1万5909人(1月5日時点)、利用者はさらに増え続ける」と指摘し、同制度の恒久化を要請。これに対し、厚労相は「2011年度から恒久的な措置としてこれを実行していきたい」と明言。

 一方、2月3日の参院本会議で山口代表が「多くの方が利用できるよう拡充するとともに、恒久化すべきだ」と迫ったのに対し、首相は「11年度から求職者制度を創設したい」と述べ、恒久化も含めて検討する考えを明らかにした。これを受け、厚労相の諮問機関である労働政策審議会は2月4日、同制度の恒久化へ向けた議論をスタートさせた。

 総務省が発表した労働力調査によると、09年の完全失業率(年間平均)は5.1%と、世界的不況の影響で過去3番目に悪い水準となり、前年比の上昇幅は1.1ポイントと過去最大を記録。再就職へ向けた安全網の強化は必要不可欠となっている。

 大阪市内で同制度を利用し、パソコン講習を受けている女性は、「雇用保険が切れているので、生活費の支援は本当に助かっている」とした上で、同制度の恒久化について「ニーズはあると思う」と話していた。


「訓練・生活支援給付金」制度とは

 雇用保険を受けられない人(受給終了者を含む)が、職業訓練の受講を条件に、単身者には月10万円、扶養家族がいる場合は月12万円が支給される制度。ハローワークの窓口で求職を申し込み、キャリア・コンサルティングを受けた後、訓練の受講を申請。受講決定後、給付金の受給資格が認められ、支給申請し審査に通れば給付金が支給される。なお、支給申請、審査による決定、支給は毎月、繰り返される(最大2年間まで)。

 公明党は、同制度の創設を推進し、09年度補正予算で実現させた。さらに、09年8月の衆院選で同制度の恒久化を公約に掲げ、同年10月の参院代表質問でも山口代表が強く主張するなど、国会質疑を通じて雇用の安全網充実を一貫して訴えてきた。


さらに使い勝手良い制度に
谷あい正明・党青年委員長

 若者の就労支援を精力的に推進している公明党青年委員会の谷あい正明委員長(参院選予定候補=比例区)に、今後の取り組みなどを聞いた。

「訓練・生活支援給付金」制度は、公明党の雇用格差是正対策本部が08年8月に舛添要一厚労相(当時)に申し入れ、実現した制度です。いわば、制度の「生みの親」は公明党です。

公明党は昨年末、「若者の雇用総点検」を行い、就労支援関係者や学生たちと意見交換しました。そして、未就職新卒者が増加する恐れがあることから、調査結果を踏まえ、同制度の対象拡大や恒久化を政策提言しました。

今回、国会論戦で政府から前向きな言質を引き出したことは、公明党の大きな実績です。

今後は、若者にとって魅力がある職業訓練コースを増やし、着実に就職へつなげていくことが重要です。このため、企業への「あっせん」や利用者へのフォローアップ(追跡調査)の強化が求められています。さらに、使い勝手が良い制度に改善するとともに、周知徹底や出口戦略の検討なども必要です。

 公明党は若者の雇用を守るため、これらの課題に全力で取り組んでいきます。
(公明新聞:2月20日)