民主党から自治体に漏えい 「利益誘導」批判相次ぐ

公共事業の「個所付け」
道路など個別工事の予算配分


2010年度予算案における公共事業の予算配分(個所付け)を民主党が各都道府県連に漏らしていたことに対し、「党をあげての利益誘導と言われかねない」(2月17日付「毎日」)などの批判が相次いでいます。

 「個所付け」とは“◇◇市の△△事業に〇〇円”といったように、一つ一つの道路やダム、河川工事などに予算の割り振りを示すことです。

 額の多い少ないは、工事の進み具合を左右するため、地方自治体も高い関心を持っています。前政権までは、財政法に基づき、国会で予算が成立した後に政府が正式に発表し、地方自治体などに伝えてきました。

 しかし、今回は予算案成立前に政府から民主党にだけ「個所付け」情報が伝えられました。民主党は1月末に、政府からの「個所付け」資料を党幹事長室を通じて各都道府県連に伝え、一部の自治体に知らせましたが、この時点では予算案の審議にすら入っていませんでした。

 このため、鳩山由紀夫首相は3月1日の衆院予算委員会で「直接、地方自治体に伝わるべき情報が党(都道府県連)から伝わったことは甚だ遺憾だった」と陳謝し、国土交通相ら幹部の処分を検討する考えを示しました。

 また、民主党への陳情の有無で、配分額に格差が出ていることも問題です。政府の説明によると、直轄道路事業では、概算要求段階から203事業が増額されましたが、このうち知事や県連からの要望があった事業が186を占め、実に9割を超えています。

 さらに、増額割合の高い県の中には、今夏の参院選民主党の“重要選挙区”と一致している県もあることから、「参院選をにらみ、地方の要望を反映して予算配分を行っている実情の一端」(2月16日付「読売」)とも指摘されています。
(公明新聞:3月2日)