求められる熟慮と討議の民主主義

なんもかんも、ほったらかしで今国会は閉会した。メディアがなんと言おうと国民は見抜いている。一部のジャーナリストが「管首相の所信表明は自分の言葉で述べていたので評価する」なんてことを言っていたが、な〜んも具体的なことは言っていない。抽象的な表現ばかり。内に内にとこもっている。どこが評価できるんだろうか?
問題を解決して、初めて「評価」ってあるんじゃないのか。な〜んにもしてないんです!いいですか?皆さん。な〜〜〜んにもしてないんです!

.世論調査の課題

世論調査内閣支持率が日本の政治や政局に大きな影響を与えている。

今月2日の鳩山前首相の辞意表明は、「普天間移設」や「政治とカネ」で支持率が20%を切り、「このままでは参院選を戦えない」という党内の声に押されたことが主な理由だといわれている。

さらに、菅新政権は国民新党との約束を違えて、今国会で郵政見直し法案を成立させることを断念したが、これは、内閣支持率が急回復したことから、野党に攻撃されないうちに、早めに参院選に突入した方が有利だと判断したからである。

政権与党が支持率に一喜一憂するようになったのは、選挙のたびに支持政党を変える有権者が増え、いわゆる無党派が選挙結果を左右することから、政党や候補者のイメージや人気が重視されるようになったためである。商品の人気度を知るのと同じように、政党や政治家への評価は、世論調査や支持率の数字に表れる。有権者の声が届きにくい政党では、これらの数字に過敏になるのはやむを得ない。

だが、世論調査の支持率には問題点も指摘されている。支持率には人々の多様な声が含まれている。「支持する」といっても、「強い支持」もあれば、「渋々の支持」もあるはずだ。それらは世論調査の中では、同じ「支持」として扱われ、合計されてしまうのである。

また、回答では「一時的な印象」か「十分考えた意見」かの区別はつかない。最近、“緊急”世論調査が目立つが、回答者の第一印象の表明に過ぎないことが多い。この数字がテレビや新聞で大きく報道され、人々は世論の風向きを知り、自分の考えを調整する。世論調査の結果が世論になっていく。

世論調査の方法も報道各社によって異なる。コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDD方式が主流だが、面接法で行っている社もある。数値の違いが目立つこともある。菅新内閣への支持率は、毎日新聞が66%、時事通信社41.2%と、同時期の調査にもかかわらず数値は大きく異なる。前者がRDD方式、後者が面接という違いはあるものの、二十数ポイントも異なっている。

民主主義の下での世論は、人々の意見の集約であり、一対一の対話や徹底した議論を通じて、形成されていくものだ。世論調査に表れた世論ではなく、草の根の世論をつくっていくことが民主主義を鍛え、衰弱する政党政治を蘇らせることになるはずである。
(公明新聞:6月17日)