「弥富市の防災を考える・被害者ゼロを目指して④」

前回までは「地震」そして「津波」に対して、自助の範疇で考えてきました。今回は風水害についてです。

56年前、この地方を襲った伊勢湾台風。死者4,697名、行方不明者401名、負傷者38,921名(消防白書より)と甚大な被害、大災害となりました。

その後、防災インフラも整備され、現在も維持管理と更なる高度な整備が進められています。しかし、最近の日本各地で起こる災害をみても分かるとおり、自然の猛威を100%抑えることは出来ません。

減災に繋げていくためには、防潮堤や排水処理の整備などのハードのインフラと、風水害の怖さを正しく知り、その上で命を守る備え、行動というソフトの分野を充実させることが大切です。

弥富市民全員が知っておかなければならない事として、ほぼ市内全域が海抜ゼロメートル以下であり、1滴の水も蒸発をしない限り、自然の力では海に流れ出ないということです。
ですから、どのくらいの雨が降れば冠水浸水してしまうのか、おおよその限界値を知っておく事。また台風などの風水害は、地震と比べれば多少の予測がつきます。
「もしかしたら・・・」「・・・かもしれない」という革命的な危機感をもって、早め早めの対処が危機回避の鍵となります。

では、弥富市にどれだけの雨が降れば冠水浸水の危険があるのか?一概には言えないのですが、3日間連続雨量336ミリ、ピーク時で時間当たり54ミリの雨が降ると排水能力の限界を超えてしまうため冠水浸水が起こってしまいます。

気象情報などでは「総雨量」と表現されますが、「連続雨量」とは3時間以上、雨が止むことなく降り続く状態を言います。

また、河川は複数の市町を流れているので、弥富で降らなくても中流、上流域で降れば同じ危険があることも知っておかなければなりません。

これ以外にも台風などでは、猛烈な低気圧の影響と満潮時が重なると、堤防を越える潮位となり、冠水浸水被害となります。

気象観測の精度も上がり、比較的に情報が得やすくなっていますが、その情報を元にどういう行動を取るべきか、ここが明確になっていないと後手後手となり、最悪、災害被害に巻き込まれてしまいます。

実際、台風が直撃する前であっても、すでに暴風雨が吹き荒れる中での避難行動は危険を伴います。
また、これは地震にもいえる事ですが、電気・水道・ガスなどの生活インフラが絶たれる事も想定した備えも考えておかなければなりません。

今回はここまでです。次回は風水害についてもう少し考えてみます。