「弥富市の防災を考える・被害者ゼロを目指して⑥(番外編)」

今回、番外としましたが、3月議会での私の質問に対して数件の問い合わせがありましたので、その際お答えした内容に沿ったものです。
①から⑤までにも書いておりますが「防災」の基本は「自分の命は自分で守る」という「自助」です。この事への取組が「津波」による被害が想定される地域であるにもかかわらず、いっこうに進んでいない事から質問に取り上げました。
愛知県の防災計画、市の防災計画には、起こり得る災害に対しての被害想定がされていますが、どうすれば減災に繋げていけるのかがテーマです。

地震、そして津波に備えるためには、先ず発生する地震に対して「生き残る術」を身に着けておかなければなりません。そして生き残ったならば、直ぐに襲い来る津波への対処に迫られます。

◇市民の皆さんは「どこ」に逃げますか?
◇場所は決まってますか?
◇そこは安全ですか?
◇そこまでの経路は決まってますか?
◇橋や道路の寸断でも安全な第2、第3の経路も考えてますか?

これだけは事前に決めておく事、そして散歩がてらでも結構ですので何度も実際の場所に行っておくことが大切です。

弥富市内には山や丘などの高台はありません。市内のほぼ全域が海抜ゼロ以下ですから、逃げる(緊急避難)には高い建物に移動するしかありません。

現在、市内には公共、民間の建物も含め「津波・高潮緊急時一時避難場所」が設置されています。これは現在の建築基準に見合った耐震性のある建物で47箇所、5万2030人分(一人1㎡)の避難場所が確保されています。
弥富市の人口は29年4月1日現在で4万4333人ですから確保率は約117%です。
全市民が避難場所へ移動するのかといえば、そうではない事も考えれば、一応十分に避難場所は確保されていることになります。しかし、「誰が、どこへ」が決まっていない現在、もし津波をともなう大地震が起これば大混乱となってしまうでしょう。

議会で使用した資料ですが、ちなみに各学区ごとの避難場所の設置状況は以下の通りです。

学区別・津波高潮緊急時避難場所(引用した人口統計H27.4.1現在:44,469人)
指定場所 47カ所(52,030人)

【白鳥地区】人口 5,667人
(避難場所)5カ所  収容人数 5,080人(△587人)

【弥生地区】人口 11,084人
(避難場所)11カ所  収容人数 7,634人(△3,450人)

【桜・日の出地区】人口 16,011人
(避難場所)12カ所  収容人数 20,222人

【大藤地区】人口 3,183人
(避難場所)5カ所  収容人数 4,054人

【栄南地区】人口 2,957人
(避難場所)7カ所  収容人数 7,856人

【十四山地区】人口 5,567人
(避難場所)7カ所  収容人数 7,184人 

白鳥学区と弥生学区以外は一応、避難場所は確保されています。問題は、緊急避難が必要な各お一人お一人「何処へ」が決まっていない事が挙げられます。最低でも◇の質問事項に対して対処法が決まっている事がスタートラインです。
今議会の質問の中で、学区別での避難場所の割振りを先ず行う事、そして地域の実情、各個人の実情(要配慮者への対応)を考慮し調整をすることで、「誰が何処へ」と地域の実情が今までより鮮明に浮き上がってきます。
健常な方は問題ないですが、移動が困難な方など、必ず地域にはおられるはずです。それへの対応を地域で考えることによって、より具体的に、実践的な防災訓練へと繋げていく事が出来ます。

白鳥学区と弥生学区の皆さんは「足りんがや」と仰る方もおられると思いますが、比較的に集合住宅にお住まいの方や、公的に避難場所には設置されていませんが国道155線バイパスや東名阪道にも避難が可能です。

学区別に設置されている各「津波・高潮緊急時一時避難場所」には収容可能人数が表記されていますので、  
http://www.city.yatomi.lg.jp/kurashi/1000511/1000512/1000518.html
確認をしながら自治会等でさらに振り分け、組単位で回覧等も利用して各戸に避難場所を決め、またその際にアンケートなどを通し、配慮や援助の必要な方からなど要望を聞き取ることで要配慮者対策も具体的に進める事が出来ます。

弥富市民の皆さんが「地震が起こったら次に津波が襲い来る」地域に住んでいる事を先ずは共有しなければなりません。
また、何度も書いてますが「津波」の前には必ず大きな「地震」があります。
直下型地震なのか海溝型地震なのか、直ぐ情報が確認できればそれに越したことはありませんが、発災時、そんな余裕はありません。

地震」が発生した!生き残った!直ぐ避難!

これを共通認識として持ち合わせたいですね。
県や市の防災計画には被害想定と併せて災害規模の想定などが掲載されています。
マグニチュード9、震度7強」とか「大津波最大4メートル」とか「津波到達まで81分から84分」など具体的な数字が表されています。
これはあくまでも過去の災害統計を参考にし、シュミレートした数字です。

大事なことは「数字(アンカリング)にとらわれてはいけない!」という事です。

「どのくらいまで水が来るの?」と私もよく聞かれますが、統計からし弥富市の場合、地べたか3メートルから4メートル・・・これはアテにはなりません。

津波まで80分もあるなら、慌てることないね」という人がいます。

阪神淡路大震災では、亡くなった方のほとんどは地震による家屋の倒壊、家具転倒などによる圧死、発災直後の火災などによるものです。ですから先ずは地震に備える事が重要ですし、数字(アンカリング)にとらわれて避難行動が遅れた人が多かったことで被害が増大したのが東日本大震災です。

だから・・・地震」が発生した!生き残った!直ぐ避難!なんです。

今回の質問に対して市長も「防災会と行政の在り方をリセットし、抜本的に取組を考えなおさなければならない」と答弁しております。
無災害が一番ですが、「もしも・・・」のための備えは、災害時、結果減災に繋がるだけでなく、人間関係の希薄化が進む現代社会において、人との繋がりの大切さを共有できるきっかけにもなります。
訓練などでは決してホシは外さず、それでも難しい事ばかりだと続きませんから「楽しく」「和気あいあい」で継続して行えるよう工夫して取り組むことが大切です。

先に書いたように、各個人の避難場所を決定する過程で、今後は各防災会を中心に自治会や組でワークショップ形式で意見交換などする機会が設けられると思いますが、その際は「否定、断定をしない」「心の変容を受け入れる」「沈黙を大切にする」「書き出してつなげる」「説教しない」「同意を求めない」「評価しない」など、意見や価値観の違いを認め合い、お互いを尊重し合うルールのもとに行うことをお勧めします。
これは地域で人、ご近所とお付き合いをして行く上で、軋轢や派閥を生まず、モアベターを導き出すためのルールでもあります。

市民の皆さんと「防災先進の都市、弥富市」を目指していきたいですね。

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