脳脊髄液減少症 教職員対象の研修実施へ

病気への理解深めて
公明府議が“橋渡し役”に



脳脊髄液減少症に対する要望書を大阪府に提出する患者会と公明府議






大阪府は5月7日に、特定非営利活動法人NPO法人)「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」の中井宏代表理事を講師に招き、脳脊髄液減少症を発症した児童・生徒への配慮などを学ぶ研修を開催する。府立学校の教職員や、各市町村教育委員会の指導主事らを対象にした安全講習会の一コマとして行うもの。府が研修実施を決めたのは、府議公明党の尽力によって、府側と患者団体の懇談会が行われたことがきっかけとなった。

 脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ外傷など、頭部や全身への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れ続け、頭痛やめまい、吐き気、視力低下、うつ、全身倦怠感など、さまざまな症状が複合的に表れる病気だ。

 研修開催のきっかけとなった府との懇談会は3月31日、「脳脊髄液減少症大阪府患者会」(長野豊代表)が大阪府庁を訪れ、橋下徹知事などにあてた「脳脊髄液減少症に対する要望書」と3557人の署名簿を提出した際に行われた。

 これには、府議公明党の谷口昌隆、三宅史明、長田公子の各議員、「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」の中井代表理事らが同席した。

 席上、中井代表理事や谷口議員らは、3月末時点で全国の半数以上の府県がホームページに脳脊髄液減少症の関係情報を掲載していることを力説。「大阪府も知事の政治決断で、できるだけ早く掲載してもらいたい」と強調した上で、(1)府内の全学校への周知徹底(2)教員を対象にした研修の実施(3)子どもの患者の学校生活への支援(4)同症治療の保険適用実現への尽力――の4点を要望した。

 この後、患者らが自身の体験を発表。

 このうち今春、府立高校を卒業した屋我絵里衣さんは、「中学1年生の時に発症した。周囲の理解も得られず、心身ともに疲れ果て悩み抜いたが、高校は先生や友達の協力で卒業することができた」と述懐。同じように悩んでいる人に、一日も早くこの病気の存在を知ってもらえるよう、「行政から情報発信を」と訴えた。

 こうした声に大阪府教育委員会の中尾俊治・保健体育課長は、「皆さんの話を聞いて、あらためて何か支援できないかと思った」と語り、教職員を対象にした研修実施などを行うことに前向きな姿勢を見せていた。
(公明新聞:4月25日)